「おすすめしない」から「走らないようにしよう」へ
われわれ高尾マナーズは「マナーガイド」や「Webサイト」で、ハイカーに出会うことの少ない、おすすめトレイルを8つ紹介しています。
でも、高尾山の定番コース、高尾山山頂につながる研究路1~6号、そして稲荷山コースの合計7つは、その中に含まれていません、われわれはおすすめしていません。われわれのトレイルマップには表記さえありません。
走って楽しいはずがない
なぜなら、年間260万人という世界最多の登山者数を誇る高尾山山頂を目ざすトレイルが、その7つだからです。世界でもっともハイカー、観光客で混み合うトレイルが、その7つだからです。走って楽しいはずがないし、走れば間違いなくハイカーや観光客に不愉快な思いをさせるからです。
最近、多くのハイカー、メディアの人たち、そしてトレイルランナーから、「研究路や稲荷山コースでマナー知らずのランナーグループが目立ちます」と苦言を聞くようになりました、困ったな。
高尾が他の日本の山と大きく違うのは、トレラン初心者が圧倒的に多いことでしょう。ふだんは皇居や代々木公園を走ってるランナーたちが「今日は心拍数を上げよう」「お花見に行こうよ」「紅葉のシーズンだよ」とメンバー揃って高尾にやってくるのです。新宿から電車で1時間もかからないんですから。
高尾を走ることは高尾山頂に上がること?
そして、彼らの多くが「高尾を走る=高尾山頂へのトレイルを走る」と思っていること。そして、初心者ゆえにマナーを知らないことが、多くの人の迷惑につながっているように思います。
2021年、「おすすめしない」はおすすめしない
いよいよ本題です。そんなことも含め、最近のわれわれの体験、周囲の意見などから、2021年度を迎えて高尾マナーズは《研究路1~6号、そして稲荷山コース》の合計7つのトレイルを「走ることをおすすめしない」のではなく「走らないようにしよう」と表現を変えます。
「おすすめしない」が遠回しだとは思わないけど、誰にもわかりやすく「走らないようにしよう」と変えるだけで、迷惑を感じたりや不愉快に思う人がひとりでも減ればいいじゃん、という判断です。
「え、平日の朝イチ、稲荷山はダメですか?」と疑問に思う地元ランナーがいるかも知れません。
いえいえ、なぜ「走らないようにしよう」という表現なのか、その理由を理解してもらえば答えは明解です。たくさんのハイカーや観光客で混み合っているから、彼らに迷惑をかけるから、接触事故など危険だから「走らないようにしよう」です。
平日の朝イチなら、それほど多くの人には出会わないはずです。その先はみなさんの判断です、他の人に迷惑をかけないのなら走っていいでしょう。もちろん「歩く人に出会ったら歩いてすれ違いましょう」は変わりません。
あなたにお願い
もし、あなたがこの考えに賛同してくれるのなら、あなたの仲間に、トレランを始めようとしている友だちに『高尾山の研究路1~6号、そして稲荷山コースは走らないようにしようよ』と伝えてくれませんか、その理由も。
3年前から「歩いてください」
最後に高尾山山域を管理している東京都環境局の「高尾山のご利用ルール」をご覧ください、2018年8月に発表されています。ごくごく当たり前のことばかりだけど、15番目の研究路の1号路(*)だけは特別扱いです、トレイル名を明記して「トレイルランナーは周囲の歩行者に配慮して歩いてください」と表現しています。
いまの時期はさすがにハイカーも観光客も少ないのですが、非常事態宣言が撤回され、温かくなってくれば、いつものような大賑わいの研究路、稲荷山コースに戻ります、ぜひ「走らないようにしよう」を心に留め置きください。
* 1号路は東海自然歩道、しかも東の起点です。同時に薬王院への参詣道で、誰でも苦労なく歩けるように薬王院までは全面舗装され、同時に生活資材を運ぶ車両も通行します。