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正義の味方

レンジャー/Ranger(英発音はレインジャーに近いと思うな)。特殊部隊、森林警備隊、国境警備隊など多くの組織がそのように名乗るけど、もともとは(土地、敷地、特定範囲を)巡回する、監視するスタッフとその組織のこと。米コミックのヨギ・ベア(和名クマゴロー)のいたずらに悩まされる国立公園の「監視員さん」もそうだし、銀のバッジを胸につけ白馬にまたがるハイヨ・シルバー! の法執行官もレンジャーだ。

そして高尾にもレンジャーがいる、正確な名称は長いんだぜ。
「東京都環境局 多摩環境事務所 自然環境課 東京都レンジャー/東京都自然保護指導員」。
彼らは帽子をかぶった熊を相手にかけずり回ったりしない、馬にも乗らないし腰に拳銃をぶら下げていない。かわりに10Kgのザックを背負い、日々高尾山域をめぐり、重要な仕事をしている。

高尾は都立公園、そして国定公園

高尾は都立公園。恥ずかしいことに、われわれも最近まで気がつかなかった(言われてみればたくさんの道標に「東京都」って文字があるじゃないか)。高尾山周辺はもちろん、東は陣場(馬)山を越えて笹尾根の醍醐丸まで、北は市道山・鳥切場(え、山岳耐久のコースだよ)まで、そして南の端は三沢峠・西山峠。これら広大な山域が東京都立高尾陣場自然公園。さらにその中に明治の森高尾国定公園があるんです。

公園である以上、園内を管理整備するスタッフが存在する。それが長い名前のレンジャー。前回お伝えしたように、《最近、ハイカーさんとトレイルランナーのトラブルが多いんだけど,意見を聞かせてほしい》ということがきっかけで彼らと交流が始まりました。

そうはいっても、そもそも公園である事すら知らなかったわれわれ「マナーズ」、レンジャーってなに? どんな事をしているの? 頭の中は疑問符だらけ。「レンジャーさんが仕事しているとき後ろにくっついていっていいですか?」図々しくお願いしたら、すんなりOKが出ました。

高尾をわが子のように

そこで先日。南風が気持ちいい晴天のよき日、われわれ「マナーズ」はレンジャーさんと一緒に高尾を歩き、仕事ぶりを見学し、楽しい話をいっぱいしてきました。オンラインで一度しか会ったことのない彼ら、お役人なのに(*)、職務同行を許し、怪しい風体の「マナーズ」3人を快く受け入れてくれました。

話をしながらも彼らはトレイルの崩落個所の確認をしたり、木製階段の「浮き」を気にしたり、盗掘されないよう希少植物の生息範囲をチェックしたり、トイレの手洗いの水や電気(照明)の点検をしたり、毒キノコの注意喚起の看板を取り外したり・・まあ、なんと丁寧で細かい仕事ぶり。彼らは高尾をわが子のように気遣い、見守り、愛する素晴らしい人たちでした。

彼らの主な仕事は
・トレイルや案内板(道標)の点検、整備、緊急補修
・利用者(観光客、ハイカー、ランナー)への公園利用マナーの普及啓蒙
・盗掘を防ぐための告知、監視
・動植物の生息、生育状況など自然環境の継続的観測、監視
また利用者へのコース案内や自然解説を行うこともあります

レンジャーの事務所は東京都高尾山ビジターセンターの中にあって、HPに掲載されている高尾山域のトレイル情報(通行止や整備作業状況など)は現場を歩く彼らからもたらされたもの。高尾を走るなら事前に確認しておくべき大事な情報です。

そして、高尾の山に関しては百戦錬磨のレンジャーたち、月に一度「東京都レンジャーニュース」を発行しています。バックナンバーは東京都環境局自然公園のHPの中にあって、彼らの活動が現場感満載、走る人にも歩く人にも役に立ちます。彼らの手作りだよ。

手伝わせてほしい

さてさて。大雨のあとの崩落や倒木、ハチの巣などの通行障害が起きたとき、ちゃんと板や石を運んで杭が打ってあったり、トラ(黒×黄)ロープで迂回コースができていたり、ラミネート看板が貼り出してあったりする。そうか、彼らがそれをやってくれていたんだ。

われわれが高尾を安全に楽しく走ることができるのは100%彼らのおかげだ、間違いない。一日彼らの仕事ぶりを見て,強く強く思ったんだよ。もし許されるなら、「マナーズ」は彼らの仕事のお手伝いをしたい、いや、させてほしい。なんでもするよ。だって自分たちの遊び場を大切にするのは当たり前じゃないか。

正義の味方のお手伝い、それが実現することになったらみなさんにお知らせします、自分たちの遊び場を安全に楽しくする活動、どうです一緒に?


かつて、環境省の肝いりで開発整備された「みちのく潮風トレイル」。現地の環境省スタッフに取材要請をしたところ、トレイルラニングに対する無理解にがっかり、その対応にうんざりしたものです。とてつもない時間と予算をかけた素晴らしい(ほんとうに素晴らしい)トレイルは、青森県八戸から福島県相馬までの総延長1000kmにおよびます、けれど1mたりとて走ることは許されていません。

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